2015年4月2日木曜日

ぐるっと紀伊半島ひとめぐり

巨大な半島

 紀伊半島に行って来ますと知人に告げたら、熊野古道を歩かれるのですかと尋ねられた。いや、鉄道に乗るための旅なので今回はそこまでは行けませんと答えると、気の毒そうな顔をされる。いつまで経っても列車に乗るだけの旅を理解する人はいそうもない。
前日夜に大阪入り

 そんな私だって、時間に都合がつけば旅の途中で観光することもある。しかしながら紀伊半島は実に大きく、日中、特急を乗り継いで大阪・名古屋間を乗り通す方法はわずか3通りしかない。名古屋からならば8時05分発と10時01分発の特急南紀が利用でき、10時の列車に乗れば新大阪には18時50分に着く。厳密には日没後の到着だが、ライトアップされた通天閣が楽しめる。
 しかし以前から紀伊半島をめぐるなら出発は大阪からと決めていた。午前中は東から降り注ぐ日の光に輝く大阪湾や紀州灘を眺め、午後は西から射す光に照らされた熊野灘を眺めれば、一日中順光で綺麗な景色が眺められるというもの。一方名古屋から出発すると終日逆光に悩まされることになる。ということで新大阪7時53分発の特急くろしお1号を選んだ。嬉しいことにこの列車はオーシャンアロー車両で運転されると時刻表に記されている。奮発して、展望グリーン車の海側席を確保することにした。
 今日の旅は、観光する暇もないくらい、距離が長く時間のかかるものとなる。大阪の天王寺から名古屋までは470.8㎞もあり、それは東京から名古屋・米原を越えて安土までの距離に匹敵する。ちなみに大阪・名古屋間を普通に東海道本線で行けば190.4㎞なので、距離にして2倍以上、しかもカーブの多いローカル線だから、車窓愛好家にとってはいやが上にも期待は高まる。熊野古道などまたの機会で構わない!
 ということで、オーシャンアロー1号に乗るために、前日夕刻、大阪に入った。大阪に来たからには二度漬け禁止の串かつが食べたいので、ビリケンさんが祀られる通天閣に出掛け、ビリケン神社斜前の店に入る。今日は一日中雨降りだったが、予報によると明日は晴れ渡るらしい。旅の成功を祈念しつつ一人祝杯をあげた。

オーシャンアロー くろしお1号に乗る

 新大阪駅11番線は、関空や南紀方面へ向かう特急列車の専用ホームである。和歌山からのくろしお2号がそのまま折り返し新宮行くろしお1号となる。水色と白が鮮やかなオーシャンアローは、先の尖った先頭車両が展望グリーン車となっている。鮫に似ているなと思ったら、実際はイルカをイメージしてデザインされたものだそうだ。近鉄のアーバンライナーにも似ているが、それもそのはずで、車内に表示されたプレートには近畿車輛製造とあった。ゆったりした3列シートの、海側一人席に腰を下ろし、ウィスキーを詰めたスキットルを窓枠に置いて発車を待つ。準備万端、優雅な旅が始まろうとしていた。

運転台と車内とは一面のガラス
で仕切られているため、前方の
眺望も抜群。        

 この列車が走る新大阪・天王寺間は実に見どころが多い。通勤電車では通ることの出来ない梅田貨物線を使って関空や南紀と結んでいるため、この区間はいわば特急列車の専用線となっている。三複線の淀川鉄橋を渡ると、大阪駅には向かわずに東海道本線と別れ、阪急線の高架手前で単線となり、現在は更地となった広大な旧梅田貨物駅の脇を進んでいく。右手には「未来の凱旋門」とも呼ばれる梅田スカイビルが聳え立ち、左手には更地の向こう側に大阪駅のシンボルとなった大屋根が見える。とても近未来的な風景で、大阪という街のエネルギーが感じられる。列車は東海道線の下をくぐって大阪環状線の高架に寄り添いながら地上をゆっくり進んでいく。福島駅の下には渋滞で悪名高き、なにわ筋の踏切がある。そこを過ぎれば次第に高度を上げて大阪環状線と合流する。
 ひっきりなしに電車が行き交う大阪環状線には西九条駅で乗り入れる。西九条は二面3線の駅で、ユニバーサルシティーのある桜島線への分岐駅でもある。列車は西九条駅に近づき、梅田貨物線が空くのを待っている新大阪行くろしお4号を眺めながら、まず環状線外回りの線路に転線し、さらに分岐をしながら通勤客で賑わう二面あるホームの間をゆっくりと通過していく。仕事に向かう人々の複雑な思いが籠もる視線が突き刺さる。こんなときはグリーン席でゆったりしているからといって優越感など感じるどころではなく、罪悪感と気恥ずかしさの合わさった思いがするものだ。ホームを抜けてもう一度転線して、大阪環状線内回りに入る。この間、多くの列車が信号待ちになっているはずで、実に申し訳ない。
 川の街大阪らしくいくつかのトラス橋を渡る。それはまるで昭和の産業遺産であるかのように時代がかっている。そうかと思えば、UFOのような京セラドームがビルの密集した街中に現れる。それを過ぎれば天王寺は近く、天を衝くかのようなあべのハルカスが立ちはだかる。それに比べると、新世界の通天閣はレトロな雰囲気が漂う控えめなタワーに見えてしまう。ど派手で「こてこて」な通天閣も、朝陽の中ではその本性を隠しており、横浜のマリンタワーのようにおとなしいものである。新旧聖俗入り混じった大阪は、まさにワンダーランドだ。

天王寺界隈

 鉄道という視点で見ると、大阪は東京ではなくロンドンに似ている。それ程広くない地域に鉄道が数多く集まり、頭端式(行き止まり)の終着駅が多数存在する。ホームが櫛形になっているので、到着した列車の乗客は、行き止まりの先の改札口に向かい、そのまま街中へ出ていく。旅立つときはその逆で、鉄道を利用する人の流れが二方向に統一されていて美しい。終着駅は始発駅、旅の終わりは旅の始まり。どことなく人生を感じさせる櫛形の駅だからこそ、旅情も掻き立てられるに違いない。
 東京では上野駅に風情を感じる人が多いのも、地上駅が行き止まりだからである。高架駅の方は中間駅なので、こちらに特別な思いを感じる人はいないだろう。天王寺駅は上野駅に似ている。ここは大阪環状線・関西本線・阪和線の分岐駅でありながら、そのうち阪和線だけが頭端式の駅となっているのだ。
 ただし和歌山方面からの優等列車は大阪環状線を通って大阪まで直通するので、櫛形ホームは使われない。また奈良方面からの関西本線は終点がJR難波のため天王寺では折り返さない。ということで天王寺・大阪間の大阪環状線は様々な車両で溢れかえっている。入り組んだ線路、老朽化した施設を見ていると、ここでも、重厚なロンドンを感じてしまう。


阪和線から紀勢本線へ
行き先表示に羽衣線の文字


 阪和線は全線複線の近郊路線である。途中、鳳で支線の通称羽衣線が分岐する。わずか一駅1.7㎞の盲腸線で、乗り尽くしを目指す者には手強い相手だ。今回の旅では阪和線完乗にも拘っていたので、昨日のうちに南海電鉄で羽衣までやって来て、歩いてすぐの東羽衣から鳳までを乗車済みにしておいた。そこを今日はあっという間に通り過ぎる。
 阪和線の多くの駅はホームが相対式となっていて、通過列車は減速する必要がない。南海本線と競合するJRとしては、競争に勝ち抜くにはスピードダウンは避けなければならないのだろう。尼崎の悲劇は繰り返されてはならないが、関西の鉄道の懸命な速度競争が乗客の利便性を高めていることは間違いない。
 家がまばらになり、ゆったりとした町並みの上に青空が広がってきた。関空への分岐地点である日根野駅に近づく。大阪湾に浮かぶ関西国際空港、本土と結ぶ橋、りんくうタウン、離着陸する航空機が見えてくる。
 和歌山山脈に向かって上り坂にかかり、雄ノ山トンネルを抜けると紀ノ川沿いに開けた和歌山の町が見えてきた。25‰の急勾配で駆け下りる列車の車窓には、温暖な気候を活かした蜜柑畑が展開している。快晴の空の下、和歌山は光に溢れていた。駅のホームにはJRの職員が「和歌山へようこそ」と書かれた横断幕を持って歓迎している。普段接客をしていない運転手や車掌が中心のようで、慣れない仕事に恥ずかしそうにしていたが、列車が走り出すと一斉に手を振って見送ってくれた。
串本、古座・田原間の海岸

 和歌山は紀伊半島の入り口である。ここから伊勢国亀山までが紀勢本線で、新宮までは直流電化されているものの、カーブの多いローカル幹線であり、このオーシャンアローは曲線に強い振り子車両だ。ただオーシャンアローと名付けられてはいるものの、意外に海岸を走ることは少なく、山や谷を迂回しながら走っているので、まるで山岳路線のようだ。時折海が見える。
 沿線には御坊や紀伊田辺、白浜といった有名観光地が数多く点在する。紀伊半島の南端に位置する串本付近になると、ようやく紀州灘の海岸沿いを走ることが多くなるが、断崖絶壁などはなく穏やかな海岸線が続いている。しかしここは台風銀座で有名な潮岬も近い。今は穏やかな風景も一変して大自然の脅威に晒されることになるのだろう。
 串本からは熊野灘に入り、列車は北上を始める。棕櫚の木が植えられていて南国情緒が漂っている。紀伊勝浦にはたくさんの観光ホテルが建っていて、沿線随一の観光地となっている。紀伊勝浦には、JR東海の特急南紀が名古屋から乗り入れている。今回の乗り尽くしの旅では紀伊勝浦と新宮のどちらでも乗り継ぐことが出来たが、折角展望グリーン車に乗ったのだから最後まで堪能しようと、少し先の終点新宮まで行くことにした。ところがこれが大失敗であった。

新宮という町
南国情緒は豊かだけれど

 4時間16分の長旅を終えて南国新宮に着いたのは11時49分、ちょうど昼時であった。しかし人影はまばらで、駅構内にも駅前にも開いているレストラン・食堂は一軒もなかった。あるのはコーヒーショップと居酒屋兼用のラーメン屋だけだ。駅売店には駅弁も置いてない。この土地らしい新鮮な海鮮料理を期待してきたが、唯一見つけた鮨屋は今日から三連休である。商店街までは往復する時間はなく、仕方なくラーメン屋で済ますことにした。ひょっとしたら海鮮ラーメンがあるかもしれない。カウンターに坐ると様々な海産物が酒の肴として表示されている。しかしランチタイムはラーメンのみだという。およそ観光客を意識しない町であった。JR東海との接続駅であるにも関わらず、特急南紀が紀伊勝浦まで乗り入れている意味が漸くわかった。新宮はその名の通り、熊野大社への玄関口であり、観光客の多くが素通りする町だった。

非電化区間に突入
 
矢になっていないオーシャンアロー

 50分ほどで特急ワイドビュー南紀6号がやって来る。地下道を渡ってホームに立った。向かい側には先程乗ってきたオーシャンアローが停まっている。大阪側の先頭車両は丸みをおびた顔で、とてもアローとは言い難かったが、それはそれで愛嬌がある。この列車は12時45分の折り返しくろしお22号となって新大阪まで戻っていく。今は紀伊勝浦からの交換列車を待っているところだ。
非貫通型の先頭車両

 その南紀6号がディーゼル音も高らかにやって来た。この先、JR東海管内の紀勢本線は全線非電化の単線路線だ。特急南紀に使用されているキハ85系は1990年前後に造られたJR東海の特急型車両で、スマートな外観と強力なエンジン搭載し電車並みの速力が自慢の、高山本線や紀勢本線で活躍する観光特急である。先頭車両は非貫通形と貫通形の2種類あるが、やはり人気なのは非貫通形であろう。4両編成の南紀は非貫通形を先頭にやってきた。
連結可能な貫通型車両

 列車は紀伊勝浦からの乗客でほぼ満席状態だった。それに比べると新宮からの乗客はそれほど多くはない。予め海側の指定席を確保していたので、列車の写真を撮ってからゆっくりと車内に向かう。席は通路から一段上がったややハイデッカータイプのものだった。
 新宮を12時39分に発車し、短いトンネルを抜けるとすぐに熊野川に差し掛かり、三重県に入る。参宮線との分岐駅である多岐までの間は、紀勢本線で最も閑散とした区間であり、一日に普通定期列車が8本、特急列車が4本というローカル幹線である。それだけに見どころも多い。更に嬉しいことにオーシャンアローにはなかった車内販売のサービスが回ってきた。今特に欲しいものはなかったけれども、やはり特急に乗ったからには車内販売がないともの寂しい。
新鹿湾海水浴場付近

 熊野市までは七里御浜というなだらかな浜のそばを走る。ここは「21世紀に残したい日本の浜百選」に選ばれた景勝地で、白砂青松の穏やかな浜には産卵のためアオウミガメも上陸するという。次第に空が翳ってきたこともあって、先程までの南国情緒はすでになくなり、日本の浜の原風景とでもいえそうな風景が続いている。熊野市を越えると、入り江が入り組んだ漁村が続く。列車は軽快に飛ばして新鹿湾をめぐっていく。
 天気が悪くなるのも考えてみれば当然だ。かつて日本一の降水量を誇った(?)尾鷲はもう間近である。トンネルを抜ければ入り江の漁村という風景を幾度も繰り返す。
 紀伊長島は志摩半島の付け根にあたり、ここから紀勢本線は山地へと分け入っていく。前方には標高484㍍の大内山が立ちはだかっており、そこを荷坂トンネル(1914㍍)が貫いている。トンネル入り口はおよそ160㍍地点にあるため、海岸から25‰の急勾配だけでは足りず、いくつものトンネルとオメガループで迂回しながら登っていく。進行左の車窓からは先程通ってきた長島の町や線路が見えるようだが、通路越しに見る風景では詳細はわからない。車窓絶景100選に選ばれるほどだから、またここへは訪れる必要がありそうだ。
 力強いエンジン音がにわかに小さくなって、列車はゆっくりとなだらかな坂を下っていく。風景はどこでも見るような山里の風情である。山がなだらかになり、耕地が広がって、やがて国道沿いにお馴染みの大型店などが姿を現す頃には住宅も増えてくる。右から参宮線の線路が近づいてきた。列車は多気に到着だ。
 
多岐から名古屋へ

 紀勢本線は多気から松阪、三重の県庁所在地である津を通って、名古屋には向かわずに亀山までを結んでいる。もともとは伊勢神宮参拝の関西方面からの列車を通すことを目的に造られたため、亀山で関西本線と合流する際も、奈良方面に向いており、名古屋へ行くにはスイッチバックしなくてはならない。伊勢詣でのための特別列車が不要となった今では、亀山・津間はローカル支線と言ってよい。
津駅1番線は伊勢鉄道が発着

 三重県にとっては名古屋方面へのアクセスが重要であったため、1970年代になってから四日市の外れにある河原田と津とを結ぶ国鉄伊勢線が建設された。ところが名古屋・津・伊勢間には近鉄特急が頻繁に走り、地元の足としても大いに利用されていたために、国鉄は非電化の伊勢線に列車をほとんど走らせなかった。その結果、地元民からは顧みられず、超赤字路線となってしまい、わずか14年で第3セクター伊勢鉄道として切り離されてしまった。伊勢鉄道は非電化ながら高規格で造られた鉄道のため、現在はJR東海の特急南紀や快速みえが頻繁に通るようになった。ほぼ全線が高架で複線区間もあり、単線区間にもすでに複線用地が確保されている。途中には鈴鹿サーキットの最寄り駅、鈴鹿サーキット稲生がある。
 鳥羽と名古屋との間は近鉄線が通っているため、財政赤字に苦しんでいた国鉄としては到底勝ち目がないと匙を投げていたのだろうが、現在この区間を走る快速みえの乗車率は決して低くはなく、特急南紀にも大勢の乗客が乗っていることからもわかるように、伊勢線の第3セクター化は誤りであったと言う識者も多い。駅に進入するたびに減速を繰り返さなければならない単線ばかりを走る特急南紀が、高速対応の伊勢鉄道線にはいると軽快に走行するのを実際に体験してみると、やはり何とかならなかったのかと思ってしまう。南紀やみえに乗車する際には、伊勢鉄道経由の連絡切符が必要である。車内検札では、その点を丹念に確認していた。一般の乗客、特に旅行者には実にわかりにくい仕組みである。
河原田駅関西本線ホーム
右上に伊勢鉄道線ホームの屋根が
見える。           

 河原田で関西本線と合流する。ここから名古屋までは電化区間となる。電化区間は亀山まで延びており、亀山・名古屋間には近郊型の通勤電車が走っている。ただ、路線の多くは単線のままなので、併走する近鉄線には見劣りする。駅間で快調に飛ばす特急南紀も、しばしば列車交換のために運転停車を余儀なくされる。この間に近鉄特急は先に名古屋につくのだろうなと思う。しかし、それでもワイドビュー南紀の旅は快適だ。それは人里離れた山紫水明の地を疾走する特急気動車の魅力を存分に味わえるからである。大都市名古屋に近づいても複線区間がほとんどない関西本線だが、だからこそ余計旅情を掻き立ててくれるのかもしれない。ワイドビュー南紀6号は、新宮からの206.8㎞を3時間26分かけて走り抜け、16時10分、定刻どおり名古屋駅12番線ホームに到着した。
(2015/4/2乗車)

2015年4月1日水曜日

ぐるっと紀伊半島ひとめぐり 補遺


ぐるっと紀伊半島ひとめぐり 旅のノート

 この旅を通して、参宮線・阪和線・紀勢本線・伊勢鉄道・関西本線を乗り尽くした。特に紀伊半島を一巡りした4月2日の旅は、「ぐるっと紀伊半島ひとめぐり」として掲載した。このノートはその前日の行動を記したものである。
  1. 2015年度初日のエイプリルフール。曇天、風はなく寒さを感じるほどでもない。東京の桜は既に満開。東京6時16分発のぞみ3号博多行、14号車10E席。東京からの乗客はまばら。品川が出来てわざわざ始発駅から乗る人はめっきり減った。東京駅構内の「駅弁屋 祭」で購入した丸政のカツサンドはねっとり感が足らず残念。静岡に入ると黒雲たれ込め雨模様となる。
  2. 名古屋8時10分発近鉄特急賢島行、名伊特急22000系に乗車。6号車8D席。木曽川・揖斐川(いびがわ)の大河を2つ渡る。「その手は桑名の焼き蛤」まで18分、三岐鉄道北勢線の乗換駅。近鉄から引き継いだ軌間762㎜のナローゲージ。近鉄富田からは三岐鉄道三岐線。これがナローゲージかと思ったが、こちらは狭軌。近鉄の広軌と比べるととても狭く感じる。
  3. 四日市からは湯の山温泉、あすなろ鉄道乗換。高架の大きな駅、例えば吉祥寺のようなところ。白子の手前で分岐したのは何線?高速通過で駅名わからず。〈伊勢若松駅かから分岐する近鉄鈴鹿線〉 白子はしろこと読む。中川行各停に接続、結構乗車。今にも振り出しそうな空模様。
  4. 快速みえ?と併走。あちらはいつの間にか非電化。間もなく津。JRの方は鄙びている。あちらは特急かも。<名古屋8時05分発の特急ワイドビュー南紀南紀1号だった。伊勢鉄道の高架区間を快走中で、こちらが津を9時ちょうどに発つ際に、あとから到着していた>
    中川連絡線は単線。名阪特急は伊勢
    中川でスイッチバックすることなく
    通過可能。           
  5. 中川が近づくと田園風景が広がる。連絡線が見えれば伊勢中川。ホーム反対側に賢島発難波行の阪伊特急、接続の素晴らしさに惚れ惚れする。
  6. 松坂はまつざかではない。濁らなかった。
  7. 伊勢市、伊勢神宮外宮はこちら。非電化のJRには広大な引き込み線、いにしえの殷賑が偲ばれる。宇治山田、五十鈴川と各駅に停まる。殆どの人は中川で難波行に乗り換えたので車内は私一人。五十鈴川で暫く停車するのはひょっとしてここから単線?そんなことはなかった。町はここで尽き、山と海の風景に変わる。
    近鉄鳥羽駅。ここの番線は変わって
    いる。右から3456と続き、更に左に
    JRが右から021となっている。  
    22000系のテールランプ右が赤く点
    灯している理由は不明。開いたドア
    と連動しているのだろうか。   
  8. 先頭車両,運転席の後ろからの眺めはあまり良くない。
  9. JRとの乗り換えは跨線橋で結ばれていて改札口もなくスムース。ただし、新しく明るい近鉄のホームに対して、JR参宮線の終着駅ホームは古色蒼然としている。
  10. 鳥羽からは単線非電化の参宮線。快速みえ名古屋行、キハ75 102。2両編成。1両の中に快速でありながら24席分の指定席ゾーンがある。名古屋までのほとんどの区間は単線であり、河原田で関西本線に入るまでは非電化ということもあって、近鉄特急とは競合しないと思いきや、特急料金がいらないこともあって近鉄よりも安く名古屋に行ける。名古屋まで近鉄特急は1時間40分、3,030円。快速みえは2時間ちょっとで2,450円。
    鳥羽駅1番線ホームは切り欠き型の
    行き止まりホーム。      
    キハ75快速みえ名古屋行。   
  11. 鳥羽を出ると近鉄線より海側を通るので、ローカル色たっぷりで景色が楽しめる。海は凪いで海苔いかだが浮かんでいる。あいかわらずの曇天で視界は悪く出来の悪い水墨画を観ているようだ。この列車、近鉄よりも鈍足だが、伊勢市からも結構乗って来る。まずまずの人気振りだ。
  12. 多気までが参宮線で、ここは紀勢線の乗換駅。ここから津までは明日も通る。松坂で5分停車。たくさんの人が乗車、それでもクロスシートの隣には誰も座らない。申し訳ないなあ。下りの快速みえと待ち合わせ。あちらは4両。
  13. 快速みえは津から伊勢鉄道に入る。明日特急南紀で行くので、私は紀勢本線を乗り尽くすために、明日は通らない津・亀山間に乗るために、ここで各駅停車の待ち合わせをする。津駅も鳥羽駅同様に跨線橋で近鉄と結ばれている。どちらも乗降客の多い近鉄に改札業務の委託をおこなっているのだろう。近鉄側のコンコースには売店とパン屋がある。売店でビールを、パン屋で松阪牛カレーパンとウィンナークロワッサンを購入。ここではサービスでコーヒーが付いてきた。これは良いサービスだ。JRホームの閑散とした待合室で昼食をとる。雨は蕭々と降っているが、気分は最高。
    キハ11 2 JR東海のローカル線用
    気動車         亀山駅にて
  14. 津からの紀勢線は鄙びた里山を巡る雰囲気路線だ。桜や菜の花、赤いのは桃だろうか。入母屋造りの農家の軒先に美しく咲いている。雨は降り止まない。
  15. 亀山の駅にディーゼルのアイドリング音が響く。12時のサイレン。にわかに雨音が駅舎の屋根を激しく打ち始める。亀山で昼食にしなくて良かった。切符は下車前途無効、駅に売店なし。
  16. ここは今では過剰な設備の超立派な国鉄駅。1番線中央には改札口。機回し線を挟んでホームが二本あり、2番線から5番線まである。長いホームに最長でも4両編成がちょこんと停車する程度。
  17. 関西線乗り尽くしのために、名古屋行普通電車に乗って、伊勢鉄道との分岐駅河原田までを往復する。乗車した電車はクハ312 1309。
    クハ313系 JR東海の近郊系直流
    電車        亀山駅にて
  18. 河原田で下車した際、これは失敗かと思った。伊勢鉄道と合流するポイントは河原田駅の先にあるようで、伊勢鉄道の河原田駅とは津軽当別のように段差があったからだ。しかし、一駅先まで行くと1時間のロスとなる。記憶によれば確か伊勢鉄道は河原田までのはずと、イチかバチかで飛び降りた。車内アナウンスによれば、伊勢鉄道乗り換えはやはりこの駅なのである。降りた後地図で確認すると、やはり伊勢鉄道はここまでだった。この先は明日の乗車となる。ホッとしながらすぐ来た亀山行に乗る。今度の電車はクハ312 1331。
    キハ120形  JR西日本のローカル線用
    小型気動車      亀山駅にて
  19. 関西本線は名古屋から亀山までがJR東海で全線電化、亀山からはJR西日本となり非電化となる。使用されている車両は、JR西日本がローカル線用に開発した小振りの気動車キハ120系である。JRの乗り継ぎは利用者の不便を強いる場合が多く、ここでもわざわざ跨線橋を渡らなければならない。近鉄を見習って欲しいものだ。
  20. キハ120 8。40人ほどが乗車し混雑するが、次の関・加太で下車する人が多数いて、ロングシートに全員座れるほどになった。それにしても景色を背にしながら乗るのは楽しくない。柘植は草津線乗換駅。あちらは電化。遅れの草津線を待って出発。
  21. 左手丘の上にお城が見えて伊賀上野。忍者好きの外国人バックパッカー多数乗車。外国人観光客はこんなところまで来るのかと思うが、考えてみれば自分だって日本の忍者を知っていたら来るに違いないと納得する。伊賀鉄道乗り換え駅。伊賀鉄道の終点、伊賀神戸で近鉄の普通電車から特急に乗り換えたことを思い出す。ここはまた訪れることになるだろう。
  22. 天気は優れないが、笠置手前は渓谷美、桜も見事。山が開けて終点加茂。非電化はここまでで、この先は大和路快速に乗り換える。
  23. 木津で奈良線・片町線と合流する。ここからは複線区間となる。
  24. 高架になった奈良駅に初めて来る。かつて仕事で停まったことのある国道369号線沿いのビジネスホテル・アジールが見える。旧奈良駅駅舎も。桜井線も高架に繋がった。
  25. 法隆寺から天王寺までは未乗区間。王子から柏原まではちょっとした渓谷になっている大和川沿いを走る。その後は街中を走って天王寺へ。この快速は大阪行のため、新今宮で降りて、後から来る王子発JR難波行の各駅停車を待つ。
  26. 関西本線の終点は、今宮で大阪環状線と分かれて一つ目のJR難波である。なんの変哲もない地下駅。階段を上がるとなんばウォークと呼ばれる地下街。そこを1㎞ほど歩いて南海電鉄の難波駅を目指す。難波駅は関東の感覚では推し量れない大ターミナル。線路数8本もある櫛形の終端駅。ここから羽衣まで行き、阪和線の羽衣線に乗車する。
(2015/4/1乗車)