2017年8月22日火曜日

最果ての駅 九州編

南の果て


 北の最果て稚内から3068.4㎞、線路で結ばれた駅としては日本最南端の西大山にやって来た。開聞岳が間近に迫る風光明媚な無人駅だ。鹿児島中央から列車に乗った際は生憎の雨模様だったが、この駅に降り立つ頃には雨も止んで、開聞岳の裾野が姿をあらわしていた。駅の周辺はヒマワリ畑と一軒の土産物屋。朝が早いためか、店は閉まっているし、曇天のためか、ヒマワリはあちらこちらを向いて絵にならない。次の上りで一旦指宿まで戻ってみようと思う。

 ホームにはお約束通り、この駅の特徴を記したボードが設置されている。最北端の稚内と最東端の東根室は当然のこと、ここでは最西端として佐世保が示されていた。なるほど、西大山を本州最南端としてしまうと、最西端は松浦鉄道たびら平戸口としなければならなくなってしまう。JRとしては佐世保が西の端。だから西大山はJR最南端の駅なのだ。納得。

 指宿で砂蒸し風呂を楽しんだ後、4時間後にもう一度西大山に立ち寄る。だいぶ天気も回復し色鮮やかな風景になってきたが、太陽が移動して列車は逆光、恥ずかしがり屋の開聞岳は山頂が隠れたまま。わずかな停車時間の間に急いで写したのが左の一枚。日本最南端の駅の上にJRとあるのがミソである。

 再び車上の人となって終点を目指す。天気はどんどん回復したが、この先も開聞岳はついに山頂を見せてはくれなかった。残念だが、これでもう一度訪れる言い訳(誰への? 無論私の道楽を見て見ぬふりをしている人だが…)が出来た。

 揺られることおよそ50分、枕崎は真夏の太陽の真っ直中にあった。湿度はそれほどでもないが、とにかく日差しが強い。二ヶ月前に訪れた愁いに沈んむ稚内とは大違いだ。「さあ、昼食は鰹料理と生ビールだ!」と弾む思いで改札口を出ると、コジャレたプレートが下がっている。


「本土最南端の始発・終着駅」。稚内までは3099.5㎞。そういえば、枕崎と稚内は友好都市だった。稚内のホームにも同じような掲示があったなあと思い出す。二つの町は始発・終着駅で結ばれている。そのうち、青春18切符を使って両駅の間を旅してみたいと思う。どちらを始発駅にするにしても、ここに来るまでが大変で、終わった後が一苦労だなあと、愛好家としては嬉しい悲鳴をあげるばかりだった。
稚内駅の掲示(2017/6/28撮影)
(2017/8/22乗車)






もう一つの南の果て


 こんなところにも果てがあった。この視点で考えたことがなかったので、予想外のことに思わず笑ってしまい、嬉しくなった。鹿児島市電の谷山停留所である。洒落た駅舎の入口中央に、「日本最南端の電停」という立派な碑が建っている。

 なるほど、たしかにそうだよなと思うと同時に、それならば最北端は札幌だけれども、あの街は東西南北に碁盤の目のように広がっているから、該当する電停は一つではないぞ、いくつあるんだろうとワクワクしながらスマホでグーグルマップを開いてみる。


 そこで改めて知ったのだが、札幌の街はちょっと傾いているのだ。どうでもいいようなことだが、ざっと測ってみると10度ほど街全体が反時計回りに回転している。「へえっ、知らなかった!」と、知っていたからといってどうでもいいことに妙に感心しつつ、それならば最北端の電停はめでたく一つに決定! 最近環状運転が始まり終着駅ではなくなって風景が一変したが、大通に最も近く、十字路の角に三越のある繁華街、西四丁目こそが、栄誉ある日本最北端の電停である。
札幌市電 西四丁目電停
(2017/7/1撮影)

 地下鉄と接続する電停として、終日賑わう西四丁目だが、あそこを利用する人達に「日本最北端」だというプライド(?)はあるのだろうか。少なくともこの間訪れた際には谷山にあるような立派な碑は建っていなかったと思うけれども、充分に調べ歩いたわけではない。やはり確認に行かなければならないかなあと、愛好家としてはいくらお金があっても足りないなとため息が出るばかりだった。

(2017/8/23乗車)

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