留萌本線増毛駅にて
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留萌本線終点 増毛駅
駅の裏手に灯台があり、ここが
岬の突端であることがわかる。 |
終着駅ということばの響きには、哀愁が漂っている。決して明るい将来を感じさせるような語感はなく、傷ついた人が涙とともに降りてくる、そんな諦観・悲哀といった演歌の世界が似合うことばである。
ところがそのようなステレオタイプな印象とは異なって、終着駅に実際に降り立ってみると、そこはどこか人のこころを慰めてくれるような安堵感に包まれる所が多い。長い旅を終えて、ようやく辿り着いたという満足感である。この先は行き止まり、もう先には行けないんだ、ではなくて、もう先には行かなくて良いんだとホッとする思い。それこそが終着駅にふさわしいイメージではないだろうか。
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車止め=目に見えるゴール
キハ54 527 |
留萌本線増毛駅に降りた時、たまたま居合わせたNHKBSプレミアム「新日本風土記」の取材班にインタビューを受けたとき、終着駅への思いを尋ねられ、咄嗟に思い浮かんだのはそんな思いだった。「日頃都会で前へ前へと過ごしている自分にとって、ここは<目に見えるゴール>、癒されますね」と思わず口について出て来たことばは、自分でも驚くほど新しい発見だった。
新日本風土記
増毛はかつて鰊の町であり、今は日本最北端の酒醸造所のある町である。高倉健の映画『駅 STATION』の舞台となったところでもある。鉄道が敷かれる前は留萌よりも栄えていたが、鉄道とともに地域の中心は留萌に移り、ここは寂れた。しかし夏の日差しは明るく、日本海は穏やかでハッとするほど青く美しい。
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国稀酒造 |
何の予備知識もなく、終着駅だからこそやって来たこの増毛で、北限の日本酒と出会った。暑寒別岳の伏流水で造る酒「国稀」だ。酒蔵の見学と試飲が可能、旨い酒である。昼は国稀の冷酒を飲みながら、甘海老丼で舌鼓を打った。今、この地の鰊漁は完全に廃れ、甘海老漁が盛んだそうだ。レールの果てに出会いがあった。
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